性的マイノリティとりわけトランスジェンダー(自分が感じる性別と生まれた時に振り分けられた性別が不一致であり、自分が感じる性別で生きようとしている人たち)の方々が体調を壊した時、病院に行くのをためらうと言う傾向があります。そこには、病院の受診時に様々な理解不足や配慮不足で嫌な思いをし、よほどのことがない限りもう受診したくないという経験をしていることが珍しくないという現状がありました。しかも、医療に携わる皆さんからは、「20年、30年仕事をしてきて、性的マイノリティの方には一度も出会ったことがない。本当にそんな改善をする必要がありますか?」という声を聞くことがあります。

まさに、当事者にとっては周囲からの偏見や差別を恐れて、事故のセクシュアリティを「明かせない・明かさない」という現状があります。医療に携わる多くのかたがLGBT は人口の5〜8%(LGBT 総合研究所10万人調査)は存在すると推測されている性的マイノリティの存在に100%出会っているのにもかかわらず、当事者は「偏見や差別を恐れて言えない」、医療に携わる人は「気づいていない」と言う現実があります。

この状況は間違っています。なぜなら、長年続いてきたこの現状、つまり、「体調を崩しても病院に行けず、薬局で市販薬を買って自分で治す当事者が多い」という現状は、当事者本人の問題が引き起こしているのではなく、社会の彼らへの認識が不十分であることが産み出した問題であるからです。

そのような現実がある以上、どのようなセクシュアリティに生まれても、安心して必要な医療を受けることのできる医療環境の改善が喫緊の課題だと思っています。

そして、私たち「ともに拓く会」は、近い将来、しかもできるだけ早く、熊本の、そして日本中の医療施設全てが、性的マイノリティ、とりわけトランスジェンダーの方が病気になった時に安心して受診できるようになることを夢見ています。

最後になりましたが、今後も引き続き皆さまともに、この課題にとりくんでいくことをお願いしてご挨拶にかえさせていただきます。

ともに拓くLGBTQ+の会くまもと
代表 今坂 洋志